レアストーンズ
世界の宝石のお話
ドイツ
★ドイツの宝石★
ドイツ連邦共和国といえば1989年にあの感動的な『ベルリンの壁』の撤去があり、翌年40年間の悲願だった東西統一を成し遂げた国としてまだ記憶に新しいものが有ります。
統一後の面積は約35万7千K㎡(日本の約0.95倍)でヨーロッパの中央部に位置します。
主に頭脳明晰なゲルマン民族による国家で文化・芸術・科学技術等の分野で数々の天才・巨匠を生み出している国でもあります。

USAが人類を始めて月に立たせることに成功して約40年になりますが、このアポロ計画の基本であるロケット技術はドイツの頭脳の賜物であることは有名です。
そしてこのドイツの優れた技術力やセンスの良さは宝石の分野特にカットでも実感することができ、その素晴らしさは他の国を大きくリードしていると言えます。
日本の宝石業界でもドイツでカットされた石は「ドイツ・カット」として別格に取り扱われています。
種類、大きさ、品質が同じ宝石でもカットが「ドイツ・カット」というだけで価格が2倍以上になることも有るくらいです。
単純にドイツでカットされたものだからということでプレミヤムが付いて高価になったのではなく、石全体のバランス、エッジのシャープさ、仕上げの状態等どこを取っても完璧な仕事に対して与えられた価値なのです。
欧米とは違い日本では石の大きさを少々犠牲にしてでも品質とカットの良いものが好まれますから特に評価が高くなるのです。
この優れたドイツのカット技術は、ライン川の支流ナーヘ川沿いのイーダーオーバーシュタインという都市で約500年前に瑪瑙が採れだしそれを加工することにより始まり育まれてきました。
やがてこの都市に世界中からあらゆる種類の高品質な宝石用原石が集められる様になり、今では世界的な宝石加工都市というだけでなく宝石の世界的な中心都市にまでなったのです。
この様に宝石の分野特にカットに関してはドイツの存在は非常に大きいのですが、かといってドイツ国内で一般宝石の原石が多く採れるということでは決してなく殆どの原石が海外からの輸入なのです。
瑪瑙などの水晶グループとアイオライト以外の産出は皆無と言っても過言では有りません。
しかし、レアストーンとなると結構面白いものが産出します。
まず、アイフェル地方でラピスラズリの主要構成鉱物でもある
アウイン(アウイナイト 藍宝石 硬度5.5~6)の単体で結晶したものが採れます。鉱物ファンの方なら良くご存知だと思いますが、サファイアよりはるかに綺麗な非常に深いコバルトブルーの石でカットすると極めて魅力的な宝石になります。
ところが極小さな結晶にしか成長せず原石の状態でも3カラットを超えるものはまず有りません。
結晶が大きくなればなるほど色や透明感の良いものが少なくなりカットに値する原石が稀になってしまうのです。
それでカット石は0.1カラットを超えると極端に高価になり、かなり以前に日本で0.5カラットのルースが売り出されたことが有りますが価格はなんと100万円前後していました(最近は1カラットを超えたものでも数十万円程度)。
しかし、アウインはかなり小さな石を遠くから見ても強烈なブルーが目に飛び込んでくるくらい存在感と魅力を持っているレアジェムですから、コレクターストーンとしてだけでなく指輪等の宝飾品にも使われています。
又、アイフェル地方では正長石の変種の一つ
サニディン(硬度6)という石も採れます。
通常は無色から薄茶色の石ですがここではややピンク味を感じるペールブラウンの透明石が少量採れこれをカットすると非常にテリの良い魅力的な宝石になります。
次に
フォスフォフィライト(燐葉石 硬度3~3.5)という極稀少な石です。
この石はある宝石の書籍に綺麗なルースの写真付きで照会され一躍有名になり多くのコレクターが欲しがっている宝石です。
良質のものはボリビア産ですがドイツでも採れます。
透明薄緑色から青緑色の石で見た目はグリーンアポフィライト(緑色の魚眼石)そっくりです。
清々しさを感じさせる美しい石ですが、硬度が低いうえに劈開性が強く非常にカットしにくいという事でかなり入手困難な宝石の一つです。
その他ドイツでは
ダトーライト(ダトー石 硬度5~5.5)、イエローオーソクレース(正長石 硬度6)、シリマナイト(フィブロライト 珪線石 硬度6.5~7.5)、ハイパースシーン(紫蘇輝石 硬度5~6)、アングレサイト(硫酸鉛鉱 硬度2.5~3)、キャシテライト(錫石 硬度6~7)、ドロマイト(白雲石 硬度3.5~4)、セルサイト(白鉛鉱 硬度3~3.5)等が採れます。