レアストーンズ
宝石雑学教室
翡翠
★翡翠★
日本では宝石を身に着けたり、コレクションしたり、財産として保有するという歴史は欧米と較べるととても浅いのですが、翡翠に限ってはそうではありません。
なんと2500年以上前の縄文時代から勾玉などに加工され、装飾品(護身や身分の象徴)として利用されていた事が解っています。
これは他の宝石とは違いそこそこ美しい翡翠が新潟県の糸魚川市等で産出するからでしょう。

ただ、カットして宝石となり大規模な商業生産が可能な原石は現在のところミャンマー(ビルマ)にしか産出しません。
ここまでのお話の翡翠は、俗に本翡翠と呼ばれているものでジェダイト(硬玉 翡翠輝石 NaAlSi26 硬度6.5~7)のことです。
翡翠は宝石の知識が殆ど無い方でも「緑色の綺麗な石」とおっしゃるくらい知られている石なのですが、実はこれほど誤解が多く、又間違った知識を持たれた宝石は他に有りません。
特に問題なのは、鉱物としては全く違う石に「何々ひすい」と名前を付けて呼んでいるものが非常に多く有るという事です。
例えば、中国ひすいや台湾ひすい(チャイナジェード、タイワンジェード)と呼ばれているネフライト (軟玉 緑閃石Ca2(Mg,Fe)5(Si411)2(OH)2 硬度6~6.5) が有ります。
ほんとうにややこしいのですが、中国ひすいは元々ジェダイトのことをいいましたが、いつの間にかネフライトのことになってしまいました。
おそらく中国本土や台湾では今のところ全くジェダイトが産出しないからだと思います。

ネフライトの色調はジェダイトに較べると少し陰りの有る暗い緑色系の石が多いのですが、白色や黄色から黄緑色の石も有り、なかには一見ジェダイトとそっくりな石も有ります。
ジェダイトより色調が劣ることと、産地や産出量が遥かに多いためにかなり安価な石なのです。

又、ナミビアひすいやアフリカンジェード、トランスバールひすい等と呼ばれている石が有ります。
これはガーネットグループなかのグロッシュラーライト(灰ばんざくろ石 Ca
3Al2(SiO4)3 硬度7)の変種で、ジェダイトに似た半透明緑色(ピンク色も有ります)の石のことなのです。
さらに、印度ひすいと呼ばれているグリーン・アベンチュリンクオーツ(石英 SiO2 硬度7)や、ユタひすいと呼ばれているバリスサイト(バリッシャー石 Al(PO4)・2O 硬度3.5~4.5)そしてオーストラリアひすいと呼ばれていることがあるクリソプレーズ(緑玉髄 SiO2 硬度 7)等があります。
この様に緑色をした石を「何々ひすい」と呼んでいることが多いのですが、たまにジェダイトとよく似た石があり、そう信じて買って後で調べると違う石だったという話は昔も今もよく有る様です。
しかし、これらのジェダイト以外の石にもちゃんと正式名称が有りますし、それぞれの石がそれぞれの魅力と美しさを持っているのですからジェダイトのまがい物のように扱われるのは石のファンとしては少し寂しい感じがします。
ジェダイトは、ダイアモンドやルビー・サファイア等の宝石のような単結晶ではなく、非常に微細な繊維状の結晶が集合し交差した構造になっています。そのため、硬度は6.5~7とそれほど高くありませんが靱性が極端に高く、割れたり欠けたりしにくいという点では、ダイアモンドより強いと言えるのです。
(ハンマーで叩いても割れない…とよく言われますが、実際にはその様なことはされないほうが良いでしょう)
宝石店でよく出ているジェダイトは殆ど緑色の石で、たまにラベンダー色の石を見かけるくらいです。
しかし、ジェダイトにはほぼ全色といえる程の色のバリエーションが有るのです。
「翡翠」とはもともと小鳥の「カワセミ」のことなのですが、「翡」は赤を「翠」は緑を表しており赤色から緑色の石まで有るということで名付けられたようです。

代表的な緑色やラベンダー色以外に赤色(赤味を帯びた茶色で真っ赤ではありません)やオレンジ色、黄色、白色、青色、黒色等が有ります。
ジェダイトの緑色はエメラルドと同じでクロム成分によるものです。
又、ジェダイトの変種にクロロメラナイトと呼ばれている暗濃緑色から黒色の斑模様の入った石があります。
これは鉄分を多く含んだものですが、最近では殆ど採れなくなったので珍品扱いされています。

さて、ジェダイトの品質と評価のことですが、これがまた他の宝石と少し違いますし、専門家の間でも色々な見方が有り統一されていません。
しかし、ほぼ共通している評価の基準があります。

一、 まず色の違いですが、ほぼ全色あるなかで、やはり緑色が一番評価が高く特に青みを少し感じるものが良いとされており、次にラベンダー、オレンジ、黄色の順です。
二、 色が濃くて明るくムラの無いもの・・・これは他の宝石と共通してますが、色の鮮やかさは評価の上で重要なポイントとなります。
三、 透明感が良く、内包物が無いもの・・・ジェダイトは繊維状結晶の集まりですから不透明から半透明のものが殆どで、緻密で透明なものは非常に稀少です。
又、透明感が良くなるほど内包物が目立ちだしますので、両方の条件を満たすものは益々少なくなるのです。

四、 程良い大きさで、形の良いもの・・・重さとカットのことですが、この点が他の宝石とかなり違います。
ジェダイトはあまり「何カラット有る」という拘りが無く、むしろその用法に適した大きさの方が重要なのです。

そしてカットはリング用のルースにする場合には普通オーバルカボションにされますが、オーバルの縦:横:高さの比率がだいたい1.3~1.4:1:0.5くらいが良いとされています。
さらに底面にも少し膨らみが有り、オーバルの縁も丸みを持たせたものがより優れているとされています。

このようにジェダイトはなかなか奥の深い宝石で、ダイアモンドや真珠の様にそれだけの専門書が有るくらいで、かなり昔から研究されてきた様です。
又、良質なものとそうではないものとの価格差がとても大きいため、昔から質の悪いものを染めたり樹脂を含浸させて焼いたりしてトリートメント(改変)し、天然の良品に見せかけて売るということが後を絶ちません。

最近の処理石はかなり進んだ技術で施されていますからプロですらルーペ程度で調べても殆ど判断できなくなってきています。
海外特にタイや中国に旅行された時に、割安だと思って飛びついて買って大損をすることが有りますので注意が必要です。

勿論、良心的な宝石店は必ず処理石は明記してあります。
翡翠、特にジェダイトはこれ程までに昔から、とりわけアジアの人々の心を魅了して止まなかったのです。

     
オンラインショップ 翡翠