レアストーンズ
宝石雑学教室
ストーン・エッセイ (2)
★ストーン・エッセイ (2)★
エメラルドはダイヤより高い?
「良質のエメラルドは同じ大きさのダイヤモンドより価値がある」こんな話を耳にされた方がおられるかと思います。
全く異質である二つの宝石の価値を比較して簡単に優劣を付ける事ができるのでしょうか。
個々の宝石の専門業者は自分の扱っている宝石の価値を表現する時、宝石の代表格であるダイヤを例にとると解り易いという事も有ります。
しかし多種多様な宝石を扱っている業者にはかなり疑問に思える話なのです。
異種の宝石の価値を比べる前に多くの種類がある宝石それぞれのこれ以上は無いという最高品質の石(トッピン)とはどこで採れたどういうものなのかを知る必要があります。
話が複雑になりますので稀少宝石や安価な宝石を省きます。
まずダイヤモンドですがこの石は産地に関係なく真紅のレッドダイヤが最も高価で他を寄せ付けません。
ルビーはミャンマー産のややパープル味を感じ明るくて濃い赤でピジョンブラッドと呼ばれる石です。
サファイヤはミャンマー産のロイヤルブルーではなくインドのカシミール地方で採れたベルベットブルーのカシミール・サファイヤになります。
エメラルドはコロンビア産と思われていますが実はアフガニスタン産の極めて濃くて明るいグリーンの石なのです。
アレキサンドライトはロシア産で青色から赤紫色に劇的に色が変わるものです。
トルマリンはブラジルのパライバ州で採れた眩しく感じるくらいの鮮やかなネオンブルーをしたパライバ・トルマリンです。
オパールはオーストラリア産のブラックオパールで中でも鮮やかな七色の斑が格子状に並ぶハーレクイーンタイプと呼ばれるものです。
そしてガーネットグループでは非常に強いディスパージョンが有り明るい緑色をしたロシア産のデマントイド・ガーネットです。
そこでナンセンスかもしれませんが全く異種である宝石の価値の序列を無理やり付けるとするとどうなるのでしょう。
但し、宝石には大きさにより重量当たりの価格が極端に変わるという問題が有ります。
それでここでは異種である宝石各々が全て同じ一意の重さ(1~2カラットの間)でその石に最適なカットが施されているトッピンと仮定します。
まず一位にランクされるのはやはり赤色が存在するダイヤになります。
二位は意外に思われるかも知れませんがサファイヤです。
三位グループにエメラルド、ルビー、アレキサンドライトが入ります。そして四位グループはトルマリン、オパール、ガーネットとなるのです。
という訳で「良質のエメラルドは同じ大きさのダイヤモンドより価値がある」などとは単純に言ってもらいたくない事になるのです。
100点満点の宝石
同種で同じ大きさの宝石が二つあり、片方の石の品質が100点満点中の90点でもう片方が100点であるとしましょう。
仮に90点の石が90万円の場合100点の石はいくらになるでしょうか。
常識的に考えれば100万円になってしまいます。
しかし宝石の価格はそうはならずに150万円とか200万円で石によっては300万円以上になる場合も有ります。
漠然としていて解り辛いかもしれませんが、典型的な例がダイヤモンドです。
同じ大きさのダイヤでカットグレードがベリーグッドの場合ですがクラリティーがVVS1からIFに上がると価格は約1.4倍、カラーがEからDに上がると約1.5倍になります。
ですからグレードが両方とも上がると価格は2倍以上に跳ね上がるのです。
勿論これはダイヤに限らず他の色石特にメジャーな宝石にも有る現象なのです。
なぜこのような事になるのかといいますと、一番大きな理由は宝石の原石の産出量にあります。
同じ産地の同種の石でもカットして90点前後の評価ができる宝石になる原石はそこそこ採れるのですが100点満点の宝石になる原石となると極端に少なくなってしまうのです。
又、誰でもより良い物を手に入れたいと思っているのですから、需要が多いのに供給量が少なくなれば価格は当然高くなってしまうという訳です。
しかし良い物を手に入れるにはお金が掛かるんですね・・・。
トパーズ兄弟
11月の誕生石はトパーズですがこの宝石には2種類有るのをご存知でしょうか。
と言ってもトパーズとシトリン・トパーズの2種ではありません。シトリン・トパーズはトパーズと付いていますが、色が似ているだけで鉱物としては全く別の黄色から黄褐色の水晶のことです。
そうではなくトパーズそのものにFタイプとOHタイプの2種類が有るという事なのです。
Fタイプのトパーズは色調が無色や淡いブルー、イエローからブラウンをしていて透明感の良いかなり大きな結晶が日本を含む世界の多くの国々で産出します。
しかしこのトパーズには紫外線に長く当たっていると色が抜けてしまうという大きな欠点が有ります。
よく宝石店などで見かけるブルー・トパーズは殆どがこのFタイプのブラウン・トパーズを放射線照射し黒に近い濃いブルーに一旦変色させてからさらに加熱処理して鮮やかで明るいブルーに改変したものです。
勿論、色落ちのしようがない無色のトパーズはそのままカットされ非常に魅力的なホワイト・トパーズのルースになり販売されています。
それではもう一方のOHタイプとはどの様なトパーズなのでしょう。
このタイプのトパーズはイエローからピンク味を帯びたイエローブラウン(稀にピンク、ごく稀に淡いグリーンやブルー)をしていて、Fタイプのものに比べると小さく又、透明感の良い綺麗な結晶が非常に少ない石です。
産地もブラジル、ミナスジェライス州のオーロプレートという所(ナチュラルのピンク色の石はパキスタン)でしか殆ど採れません。
このOHタイプでイエロー系の石がインペリアル・トパーズと呼ばれているものでシェリー酒色をしているものが最も貴重とされています。
そしてこのOHタイプのトパーズはFタイプのトパーズと違い色落ちという欠点が全く無いのです。
この様に欠点も無く産出量も少なく小さな結晶しか採れないのですから当然Fタイプのものよりはるかに高価な宝石になってしまうのです。
FタイプとOHタイプのトパーズは人に例えると顔はよく似ているけれど性格が全く違う兄弟の様なものなのです。