レアストーンズ
宝石雑学教室
ストーン・エッセイ (1)
★ストーン・エッセイ (1)★
レッド・サファイヤ?
7月の誕生石と言えばルビーですが、このルビーはコランダムという鉱物で赤色を呈する石の宝石名です。
コランダムで赤以外の色例えば代表的な青色等の石はサファイヤになるわけです。
このくらいの事なら石好きの方ならよくご存じだと思いますが、例外も有るのです。
数年前に少し朱色を帯びた赤色のルースを入荷しました。
肉眼ではルビーにしか見えなかったのですが、ソーティングに出しますと結果はなんとサファイヤでした。
レッド・サファイヤという通常では考えられない宝石になってしまいます。
おそらくクロム以外の他の元素で赤色になっていた為でしょう。
レッド・エメラルド?
緑色で最も高価な宝石と言えばエメラルドですが、これは緑色をしたベリル(緑柱石)という鉱物の宝石名です。
ベリルには他に青色のアクアマリンやピンク色のモルガナイトが有ることは皆様よくご存じだと思います。
しかしあまり知られていないのですが黄色のヘリオドールや無色のゴシェナイトというのも有ります。
さらに宝石名が無いので鉱物名の前に色名を付けた赤色のレッドベリルやヤマブキ色のゴールデンベリル、淡い緑色(着色成分がクロム以外の鉄等の場合)のグリーンベリルというのも有るのです。
実はレッドベリルにはビクスバイトという宝石名が有るのですが、同名で全く違う鉱物が存在し紛らわしいので使われなくなっています。
ベリルという名前はあまり馴染みが無いので一時レッド・エメラルドと呼ばれていた事も有りますが、エメラルドは緑色が語源ですので非常に変な誤称になります。
しかし興味の無い方がこれらの宝石を見たり石名を聞くとそれぞれ全く違う石だと思われるでしょうが全て同じ鉱物なんですね。
ブルー・ガーネット?
同質や類質の鉱物でできていて黒や白、無色、赤黄緑青紫と全ての色が天然で存在する宝石は意外に多く有ります。
皆様よく御存じなルビーやサファイヤのコランダム、ダイヤモンド、スピネル翡翠、トルマリン等という具合です。
しかし、他の色は全て有るのに一色だけ存在しないという宝石が有ります。
それはガーネットで無いのは青色の石です。
唯一蛍光灯で見たとき青味を帯びた緑色になるカラーチェンジ・ガーネットが有りますが自然光ではやはり暗緑色でブルー・ガーネットとは言えません。
これは薔薇の花によく似ていますね。
しかし毎年多数の新種や変種の鉱物が見つかっていますので将来天然のブルー・ガーネットが発見されるかも判りませんね。
鉱物か原石か
石には鉱物や原石というジャンルが有りますがこれはかなり狭い意味で使用されています。
正確には鉱物(Mineral)は天然で存在し化学的に均一な無機質の物質ですから非常に範囲が広くなります。
ですから流通用語で使用されている鉱物は見て美しい或いは集めて楽しい鉱物標本のことになります。
また原石はカットして宝石(ルース=裸石)にしたり、彫刻品にする前の石(Rough stone)のことです。
勿論プロや一部のマニアの方ならともかく普通はカットなどしないでそのままで収集されます。
石に興味の無い方ですと鉱物と原石は同じ物に感じられるのですが、このジャンルの石を収集されている多くの方はその拘りがはっきりと二分されるのです。
それは鉱物と原石では収集される方が手に入れる時の価値基準(重要度)がかなり違うということです。
これはあくまで一般論ですが、鉱物の場合一番重要視されるのが母岩に付いている事なのです。
次に結晶面やエッジがシャープで特に頭部が残っている事、要するに外見が美しいものです。
そして結晶内部の品質の順となります。
一方の原石では仮にカットすればどの様なルース等が取れるかという見方をしますから、まず一番に結晶内部の品質の良し悪しになります。
次に外見で母岩は殆ど重要視されません。
さらに鉱物の場合はより詳しい産地、できれば鉱山名や鉱区名まで必要とされます。
原石ではそこまで詳しくなくても産地国名さえ分かれば可という感じです。
この様に同じ石でも鉱物と原石では収集の基準が全く違っているのです。
勿論、理屈抜きで鉱物と原石の両方を収集されている天然石の愛好家も多くおられます。
名前の多い石
8月の誕生石の一つにペリドットが有ります。
この石のカラーバリエーションは全色有るダイヤモンドやトルマリン等とは違い無色と黒色を除くと明るい黄緑色から深い緑色までのグリーン系しか有りません。
色調としては単調なのですが、面白い事にこの石には名前がたくさん有るのです。
まず鉱物名は Olivine(オリビン) で和名では 橄欖石(かんらんせき) といいます。
そして宝石名が Peridot(ペリドット又はペリドート) になります。
ここまでは正式な名前ですが、他に昔使われていて現在では紛らわしい(緑色のクリソベリルも含まれていた為)のであまり使われていない クリソライト という名前や夜に緑色が深くなって美しく見える事から イブニング・エメラルド という誤称まで有るのです。
一つの石にこれだけたくさんの呼び名が有るのにはちょっと驚かせられますね。