地中海北東部に位置しアジア大陸とヨーロッパ大陸にまたがり、面積が約77.5万Ku(日本のほぼ2倍)有る国がトルコ共和国です。
まだまだ大自然の多く残った美しい国で、奇岩群で非常に有名なカッパドキアのような名勝がたくさん有ります。しかし多くの犠牲者が出た99年の大地震の記憶が新しいです。95年の阪神大震災の恐怖が蘇ってきて、いつ又あの様な大きな地震が日本で起きるのかととても不安になってきます。
自然は人の心を豊かにしてくれる美しい宝石や鉱物を生み出してくれたのですが、地震や台風の様に尊い人の命や財産を簡単に奪ってしまうのも自然ですから皮肉なものです。
さて、トルコで採れる代表的な宝石と言えば12月の誕生石にもなっているスカイブルーのトルコ石だと思っている方が多くおられる様です。国の名前が付いているし、トルコに旅行された方は良くご存知だと思いますが土産物としても沢山売られているのですからやむを得ないのかもしれません。
しかしトルコではトルコ石は全くと言って良いほど産出しないのです。トルコ石の主な産地はイランやUSAのアリゾナ、ネバダ等の4州、エジプトそして中国等です。なぜこの石がトルコ石と呼ばれるようになったかという事になりますが、それはかなり昔からペルシャ(現在のイラン)やエジプトで採れたこの石がトルコを経由してヨーロッパに持ち込まれていたという事と、それを運んでいた商人にトルコ人が多かった事に因ります。
ようするに産地ではなく非常にトルコにゆかりが有ったからトルコ石と呼ばれる様になった訳です。勿論現在トルコで売られているものもイラン等からの輸入品です。
それでは本当にトルコで産出する宝石や鉱物はどのようなものでしょう。トルコ産で有名なものにエスキシェヒルという所で採れるミーアショム(海泡石 硬度2)という真っ白から淡黄色不透明な石が有ります。
この石が宝石と呼べるかどうかはともかく彫刻の材料として珍重されています。特にパイプタバコを嗜まれている方はご存知だと思いますが、パイプのボウル(刻みタバコを入れる部分)に彫刻を施したものがよく使われます。パイプは地中海沿岸で採れるブライヤー(シャクナゲ科)の根でできたものが最高とされていますがミーアショム製もまた違った味わいが有り好まれる方も多いと聞いています。削り易い石なのでご自分で彫刻されている方もおられます。
トルコは一般宝石を殆ど産出しませんが、レアストーンの分野ではかなり良いものが一種類だけ採れます。それはダイアスポア(AlO(OH) 硬度6.5〜7)というあまり聞き慣れない宝石です。
名前はダイヤに、成分はサファイヤやルビーのコランダムに似ていますがこの二つとは全く違う鉱物です。ダイアスポアは他にUSA、イギリス、ノルウェー等世界各地で産出しますし、重さ数百グラムにも達する大きな結晶も採れるのですが、殆どが白色から褐色の不透明石でカットに値する透明感の優れたものは極稀産なのです。
以前はUSAで極僅かに宝石になる品質のものが採れていただけなのですが、最近ではトルコでUSA産を超える非常に高品質な原石が採れています。カットされたダイアスポアは一見カラーグレードの低いダイヤと間違えるくらいダイヤに良く似ています。
しかしルーペでよく観察すると強いダブリング(複屈折性に因りカットの稜線が二重に見える現象)が確認できますからダイヤでないことはすぐに判ります。ダイヤ、ホワイトサファイヤ、ホワイトジルコン等無色透明石は沢山有るのですが、ダイアスポアはそれらの石とは一味違った独特の雰囲気と魅力を持った宝石です。価格もそれほど高価ではありませんから宝石収集家なら一つは手に入れたいアイテムなのです。
トルコの石で非常に残念な御話が有ります。今から3年程前にトルコの砂漠の地下で採れたという天然オブシディアン(天然ガラス)の原石が日本に入ってきたのです。ミャンマー産のロイヤルブルーサファイヤより遥かに美しい青色の石と明るいエメラルドのような緑色の石で正に新宝石といえる魅力的なものでした。
ところがその原石をカットしたルースを鑑別に掛けるとなんと結果は模造ガラス(人造ガラス)だったのです。トルコではどうどうと天然石として売られていたということですから愕然としました。
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