パキスタンはインド亜大陸北西部に位置しほぼインダス川流域を占める面積約79万6095Ku(日本の2倍強)の国です。
昔から隣国のインドとカシミール地区をめぐって紛争が絶えず、以前もインドに対抗して原爆実験を強行したため物議を醸す結果となってしまいました。色々と問題を抱えてはいますが、宝石や鉱物特に鉱物ファンにとっては結構馴染みの深い国なのです。魅力的な鉱物標本や高品質な宝石用原石が採れます。
パキスタンで採れる宝石でまず特筆すべきはトパーズでしょう。単にトパーズというと世界の各地で産出しそれほど珍しくない石です。しかし、トパーズには成分の違いによる二つのタイプが有ります。一つはインペリアル・トパーズ(黄玉 Al2SiO4(OH)2 硬度8)と呼ばれているOHタイプ(水酸基タイプ)のものです。
色調は黄色からピンク、ブラウンまで有り、濃いピンキッシュブラウンのシェリー酒色が最高の色だとされています。非常にテリや透明感の良い石で退色も無く魅力的な宝石ですが、産出量が少なく大粒の結晶も採れませんのでかなり高価です。
もう一つはFタイプのトパーズ(Al2SiO4F2 硬度8)で色調は無色からブラウンのものが多く稀に淡いブルーの石が有ります。このタイプのトパーズは大量に産出し、しかも何十sも有るような巨晶が採れることも有ります。
よく宝石店で見かける澄んだ青色のとても安価なブルートパーズは、全てこの石の無色のものを放射線処理で発色させたトリーテッド・ブルー・トパーズなのです。Fタイプのトパーズは安価な割に美しくて良いのですが退色が激しいという大きな欠点が有ります。
パキスタンではどちらのタイプのトパーズも産出し特にOHタイプで高品質のピンクトパーズが採れます。ピンクトパーズはブラジルでも採れるのですが、ブラジル産はブラウン系の石を熱処理したものが殆どなのに対しパキスタン産は未処理のナチュラルピンクなのです。
色が濃くて明るい高品質なピンクトパーズはシェリー酒色のインペリアル・トパーズよりさらに稀少で非常に高価な宝石です。
パキスタンではペリドット(かんらん石 (Mg、Fe)2SiO4 硬度6.5〜7)も採れます。ペリドットはUSAやミャンマー、ノルウェー、エジプト産等が有名ですが、パキスタン産もこの石独特の明るくて美しいグリーンをした高品質なもので、決して他の国に引けを取るようなものでは有りません。大きな原石が採れ品質の割には安価ですから日本にもかなりの量が入ってきている様です。
パキスタンはアクアマリンが多く採れることで有名です。この国のアクアマリンは代表的なブラジル産やモザンビーク産とは少し違った雰囲気を持ち、ほのぼのとした優しさを感じさせる明るいブルーの石です。
アクアマリンと同じベリルでピンク色をしたモルガナイトも採れます。勿論、カットに値する高品質なモルガナイトは稀少です。
又、意外なことに同じくベリルのエメラルドも採れるのです。パキスタン産のエメラルドは、最高級品とされるコロンビア産に他の国のものよりも色調が特によく似ているのです。
かなりの高品質ということになりますが、あまり知られていないのは小さな結晶しか採れないからです。
もう一つパキスタンで産出しているのにあまり知られていないものにルビーが有ります。この国の最北端のフンザという渓谷で比較的品質の良い原石が採れます。元々産出量が少ないという事と採掘場が急斜面に有る為に採算が取れず、20年くらい前から本格的な採掘はされなくなってしまったのです。勿論日本には全く入ってきていない様です。
この他にパキスタンではガーネットグループの中のスペサルタイト、強いディスパージョンが特徴のスフェーンやスピネル等が採れます。
パキスタンは鉱物そのものが稀少なレアストーンとなるとそれほど多種採れない様です。あえて取り上げるとすればクロム成分の含有で鮮やかなグリーンになったクロム・ダイオプサイド(透輝石CaMgSi2O6 硬度5.5〜6.5)くらいでしょう。
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