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★ロシアの宝石★

1991年に旧ソビエト連邦の大部分の共和国が創設した独立国家共同体の中核をなす国がロシアです。面積が約1千707万5千Ku(日本の46倍強)と世界一広大な国土を持ち、種類、量共に非常に豊富な鉱物資源に恵まれた国です。

勿論、工業用の鉱物資源だけでなく宝石鉱物もどれくらいの埋蔵量が有るのか計り知れません。市場主義経済が採り入れられるまでの74年に及ぶ共産主義体制のソビエト時代では宝石のような贅沢品は外貨獲得の為以外は無縁の状態になってしまった様です。

しかしそれ以前の帝政ロシア、ロマノフ王朝時代の最盛期には世界中から膨大な量の財宝・宝飾品が集められ極めて華やかな宝石の時代も有ったのです。収集は特にピョートル一世時代から増え出し、数代後の女傑として有名なエカテリーナ二世とその子のパーベルー一世時代まで盛んに行われています。

収集された財宝は最後の皇帝ニコライ二世まで引き継がれ、ロシア革命の後ソビエト政府の手に移りクレムリン宮殿に所蔵される事となったのです。

ちなみにクリソベリルの変種にアレキサンドライトという宝石がありますが、この宝石名はこの石が1830年代にロシアのウラル地方で最初に発見され暫くしてアレクサンドル二世がロシア皇帝に即位しましたのでこれに因んで命名されたのです。

宝石名に発見されたその国の皇帝の名前が付いているものは他に有りませんから珍しいケースです。アレキサンドライトには何となくロマノフ王朝時代を彷彿とさせる響きがあります。

ロシアで採れる数ある宝石鉱物の中で最も話題になるのは中国と同じでやはりダイヤモンドでしょう。ロシアでのダイヤモンドの発見は中国よりさらに古く今から160年前でウラル地方西部の漂砂鉱床(岩石や結晶鉱物が風化等により砕け、生成した元の場所から移動し集中的に堆積した場所で比較的比重の重い宝石鉱物が砂礫層の下部に集まっている)からでした。

しかし鉱物学者らによる本格的な探査は40年くらい前からで、サハ(ヤクート)の中央シベリア高原等で数多くのパイプ鉱床や漂砂鉱床が発見されました。産出量も多く、又20年程前には350カラット近くもある大きな原石が発見されたことも有り、100カラット以上の原石が採れることも珍しくない様です。これらの大粒で品質の良いダイヤモンドは売却されずにクレムリン宮殿に所蔵されています。

良質で産出量が多いことからロシアとダイヤモンドシンジケートのデビアス社との間でデビアスルートの比率をめぐって問題になることがあります。数年前にデビアスルート以外のロシア産ダイヤモンドが日本に輸入され話題になったことが有ります。

店頭に並べてあったルースにロシア産であることが明記されていましたが、無色のダイヤモンドには産地の特徴は出ませんので未カットの鉱物標本ならともかくあまり意味が無いのではないでしょうか。

ロシア産の宝石となるとどうしてもアレキサンドライトを抜きにして語れません。アレキサンドライトはクリソベリル(金緑石 BeAl2O4 硬度8.5)の変種で酸化クロムの含有により昼光と人工光で色が変化(変色性)する宝石です。
ロシアで最初に発見されたことや宝石名の由来は先にお話させて頂きましたが現在のアレキサンドライトの有名な産地はブラジルのミナスジェライス州とスリランカのラトナプラ地区です。
一般的にスリランカ産のものよりブラジル産の方が昼光での緑色に強い青味が入り美しく人工光でも劇的にパープル色に変わりますので高品質だとされています。そしてロシア産アレキサンドライトは緑色とパープル色の変色のバランスが良く非常に上品で美しくブラジル産をもしのぐ最高品質なのです。
しかし、残念なことに元々大きな宝石質原石が産出しない上に殆ど採り尽くされてしまったという事で今ではかなり入手が困難になってしまい非常に高価です。幻のロシアン・アレキサンドライトと言われるゆえんですが、ただ宝石品質とまではいきませんが鉱物標本としてならば母岩付で結構立派なものも入手することができます。勿論鉱物標本でもかなり高価です。

ロシアではその他にウラル地方を中心に様々な良質の一般宝石が採れます。

まずガーネットグループのアンドラダイト(灰鉄柘榴石 硬度6.5)で緑色のデマントイドです。ダイヤモンドのようにディスパージョンが強く、この石独特のホーステールと呼ばれるインクルージョンが有り非常に美しく高価な宝石です。
宝石質のデマントイドはイタリア等でも採れるのですが恐らくロシアのウラル地方で採れるものが世界で最高品質だと思われます。
その他ガーネットではシベリア地方でオレンジ色からシナモンカラーの
ヘソナイト(グロッシュラーライト 灰礬柘榴石 硬度7.25)が採れますが比較的安価な宝石です。

又、ウラル地方ではエメラルドアクアマリンベリル類が採れ、なかでも黄色から黄緑色のヘリオドールはブラジル産やマダガスカル産をしのぐ美しさです。

さらにアメジストシトリンクリソプレースといったクオーツグループ、ピンクトルマリンインディコライト(シベリア地方)、ピンクトパーズ等も採れます。品質は良くありませんがジェダイトルビーサファイヤも産出します。

ロシアン・アレキサンドライトやデマントイドは共に品質の良い石が極端に稀少な宝石でレアジェムになりますが、ロシアでは鉱物そのものが稀産なレアストーンもウラル地方やコラ半島等で色々と産出します。

まず非常に稀産でコレクター垂涎のタグトゥパイト(Na4AlBeSi4O12Cl硬度6.5)という石です。この石が最初に発見されたのはグリーンランドで40年程前ですがロシアのコラ半島でも採れるのです。白色から淡い赤色や暗赤色が斑になった塊状の石で殆どの場合不透明なのですが、さらに稀に透明石が出ることも有ります。
この透明石をカットするとかなり美しい宝石になるということですが塊状の原石ですら入手困難ですから手に入れることはまず不可能だと思います。

ウラル地方では鉱物収集家にはお馴染みのウバロバイト(灰格柘榴石 硬度7.5)というガーネットが採れます。クロムに因り濃いグリーンをした綺麗な石ですが、残念ながらガーネットグループの中でも結晶が非常に小さく透明石が少ないのでカットされることは殆どありません。
カットされたとしても恐らく0.1カラット以下で宝飾用にはならないのですがコレクターとしては入手したい石です。

ロシアでは同じクロムに因りグリーンになったもので
クロム・ダイオプサイド(透輝石 硬度5.5〜6.5)という石が採れます。明るくて濃いグリーンで透明感の良いものはカットするとかなり綺麗な宝石になります。最上質の石はフィンランドのオウトクンプ産と言われていますが、ロシア産もけっして負けません。


さらにサハのアルダン地区では紫色に灰色や黒の斑が面白い
チャロアイトという鉱物集合体が採れます。比較的大きな塊で採れ磨くと模様が美しいので主に彫刻の材料に利用され日本にも入って来ています。

その他にもロシアではフェナカイトや良質のダトーライト等多くの種類のレアストーンが採れるのです。


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