★水晶グループ(1)★
水晶(クォーツ SiO2 硬度7)は老若男女を問わず、石に全く
興味の無い方でも良くご存じな石です。又、昨今のパワーストーン
ブームで様々な願いを込めて身に着けられたり、インテリアとして
部屋に飾られたりされているようです。
「いまさら何故水晶の話なのかなー」とお思いになられるかもしれ
ませんが、これ程奥が深くて幅の広い石は他に無いのです。
一般的に水晶と言えば無色透明な結晶(ロック・クリスタル)のこと
を指しますが、グループの総称でもあるのです。
水晶グループに入る鉱物はその結晶のスタイルや色調、副成分
や内包物の違いでおそらく200〜300くらいの種類に分けること
ができるものと思われます。水晶グループだけ蒐集しても200点
以上のコレクションができることになるのです。中には「この石も
水晶グループ?」と意外に思われるものまであります。又、産地も
世界中にあり、子供の背丈なみの巨大な結晶が出たり、小さな結
晶でも非常に稀少なものだったり、変種が産出したりとバラエティ
に富んでいます。
それではいったいどのような水晶があるのでしょうか。
ポピュラーなものからお話をさせていただきますと……。
まずどなたでも良くご存じの無色透明のロック・クリスタルです。
無色の石ですから皆同じのような気がしますが産地によりかなり
結晶のスタイルや質が違います。
世界一の産出国のブラジル産は巨晶が採れますので水晶玉や
彫刻の材料に適しています。又、ブラジルではヨーロッパの寺院
にそっくりな形に結晶したカテドゥラルクオーツやワニの背中に見
える形に結晶したジャカレイクオーツといった珍品が採れ、形が
面白いのでコレクターズアイテムになっています。
アメリカ合衆国のアーカンソー州産やスイス〜フランスのアルプス
地方で産出するロック・クリスタルは、そんなに大きな結晶ではあ
りませんがブラジル産より一般的にテリや透明感が良くアクセサリ
ー用のカット石に適しています。
又、アメリカ合衆国のニューヨーク州ハーキマーという地区では小
さいのですがとてもユニークなでき方をした綺麗なロック・クリスタ
ルが採れます。それは灰色で珪酸分を多く含む硬い苦灰岩の空洞
の中に非常に透明感とテリの良い両錐のロック・クリスタルが結晶
しているというものです。母岩付で見た感じがキンバーライトの中に
できたダイヤモンドに似ていることからハーキマー・ダイヤモンドと
通称名で呼ばれています。
ロシアも良質のものが採れるようで最近よく輸入されています。
ロシアではかなりの変種がたまに産出しコレクターの方が飛びつ
いて購入されることが有ります。
昔は日本でも多くの量のロック・クリスタルが採れていました。
最近は良質で大型の結晶が殆ど採れませんから、もし有れば国産
だということからコレクターの間ではプレミアのついた高額で売買
されます。なかでも山梨県の乙女鉱山で採れた日本式双晶(結晶
軸が必ず84°33′の角度で交わっている双晶の一種で日本で多
く産出したため日本式と呼ばれている)であれば極端に高額です。
紫色から赤紫色をした水晶がアメジストで、2月の誕生石になっ
ています。紫色は昔から日本では色の中で一番高貴な色として珍
重されてきましたので今でもアメジストは最も人気の有る石で宝石
扱いされています。アメジストも産地によって結晶のスタイルや色
調、質に違いがあります。やはり主産地はブラジルで透明感の良
い大粒の結晶が多く採れますが、他の産地のものと比較すると若
干色が淡いという特徴があります。同じ南米のウルグアイ産は非
常に色が濃いのですが色斑が多く結晶が小さいためカット石にし
にくいのです。
アフリカ特にザンビア産は色が濃くて透明感の良いものがあり宝
飾品向けとなります。
アメジストはこれにしかない紫色の美しい石で、硬度も靱性も比較
的高く、とても安価な宝石なので申し分ないのですが、一つだけ気
を付けなくてはならないことがあります。それはこの石の紫色が鉄
分の含有による着色中心であるために、長時間の直射日光で褪色
することがあるということです。このことは宝石のプロでもご存じな
い方がおられますので注意が必要です。
黄色から黄褐色をした水晶がシトリンです。11月の誕生石のトパ
ーズによく似ていることから昔はトパーズという名で呼ばれていたこ
とがありますが、紛らわしいため現在ではその呼称は使ってはなら
ないことになっています。
シトリントパーズという呼び方もあまり感心しません。
意外なことにナチュラルカラーで良質のシトリンは稀産で殆どない
のです。市場に多く出回っているシトリンの殆どは、アメジストを加
熱処理して造られたものなのです。何故わざわざこのような手間を
掛けてアメジストをシトリンに変えなければならないのでしょうか?
これは推測ですが、他の黄色系の宝石例えばインペリアルトパ
ーズ、イエローダイアモンド、イエローサファイア等がかなり高価で
気軽に購入して身に着けることが難しいからでしょう。黄色い石の
需要も多くやむを得ないのではないのでしょうか。