★ブラジルの宝石★
日本からはちょうど地球の反対側に当たる南アメリカ大陸中央部
の面積約851万2千Ku(日本の約23倍)の大きな国がブラジル
です。距離的には世界で最も遠い国の一つですが1908年の初の日
本人のブラジル移住以来非常に親しい国になっています。
石の業界にも日系二世や三世の方がおられて、ビジネスのために年に
何度も来日されているようです。
宝石、鉱物を問わず大量にこの国より輸入されてきており、特にロッ
ククリスタル、アメジスト、シトリン、瑪瑙等の水晶グル−プやトル
マリンは殆どがブラジル産という時期もありました。
しかし、最近水晶に関しては質の良いアーカンサス産、マダガスカル
産、安価なロシア産、又、トルマリンは色の明るいアフガニスタン産
に人気の点では引けを取っているようです。
ブラジルは非常に広い国ですがやはりスリランカと同じで宝石や鉱
物の宝庫と言えるでしょう。特にアクアマリン等のベリル、アレキサ
ンドライト等のクリソベリル、ガーネット類、多彩なトルマリン、水
晶グループ等が数多く採れます。又、以外に思われるかも知れません
が質の良い大粒のダイヤモンドやエメラルドも産出するのです。
残念なことにエメラルドの最高級品はコロンビア産ということになっ
ていますので、高品質なブラジル産エメラルドをコロンビア産と称し
て販売されていることが有る様です(但し、エメラルドは他の宝石と
違い鑑別に掛けると比較的簡単に産地が判ってしまいます)。
お気付きになられたと思いますが、面白いことにブラジルで採れるク
リソベリル以外の主な石はスリランカでは殆どと言って良いほど採れ
ないのです。逆にスリランカで主に採れる石はブラジルでは余り採れ
ないのです。そしてこれはレアストーンでも同じ事が言えます。
ブラジル産のレアストーンで最初に取り挙げたい石は、国名に因ん
で名付けられたブラジリアナイト(NaAl3(PO4)2(OH)4 硬度5
.5)です。1944年にミナスジェライス州で発見され翌年に今世
紀最初の新種宝石として認定されました。色調は淡黄色、黄色、黄緑
色と明るくて澄んだイエロー系の綺麗な宝石です。発見された当初は
十数センチもある大きな結晶が採れたのですが、最近では小さいもの
が僅かしか採れないようです。ましてやカットして宝石にできる品質
の原石となると、元々内包物の多い石ですからさらに稀少になります。
5カラット以上のカットストーンは殆ど無いと言われていますが、実
際にはもっと小さなものでも入手困難な状態です。現に、ご当地ブラ
ジルの宝石業者でさえ宝石名は知っているが取り扱ったことがないと
言う方が殆どです。小さな鉱物標本程度のものならたまに流通してい
ますが比較的高価で、上質のカット石となるとかなり高価です。
ブラジルではベリル(緑柱石 Be3Al2Si6O18 硬度7.5〜8)
が多く採れその大半がブルー系のアクアマリンとグリーンのエメラル
ドなのですが、ピンク系のモルガナイト、イエロー系のヘリオドール、
無色のゴシェナイトも産出します。モルガナイトはマンガンが着色成
分でピンク色からピンキッシュブラウンの石です。鉱物としての産出
はそれほど稀少ではありませんが、ブラウン味のない明るく濃いピン
ク色で透明感の良い宝石質のものとなると稀でとても高価な宝石です。
酸化ウランや鉄が着色成分で黄色から黄緑色や黄色味を帯びたブラウ
ンのベリルをヘリオドールといいます。最近は黄色をイエローベリル、
黄色味を帯びたブラウンをゴールデンベリルと呼ぶ方が一般的になっ
ていますのでヘリオドールは黄緑色のベリルのことになるようです。
これらの石もやはり高品質なカット用原石が少ないためか、日本での
人気が今ひとつなのか、どういう訳か余り流通していません。
着色成分が全く入らなかった為に無色で純粋なベリルがゴシェナイト
です。正確にカットするとダイヤモンドのような強いディスパージョ
ン(光の分散)こそ有りませんがとても美しい宝石になります。しか
し残念ながらこの石も以前ダイヤモンドの代用品にされた程度(無色
の石の宿命なのでしょうか)で殆どカットされることがなく流通して
いないのが実状です。
無色と言えばブラジルで採れる石にフェナカイト(Be2SiO4 硬度
7.5〜8)やペタライト(LiAlSi4O10 硬度6〜6.5)、ユーク
レース(BeAlSiO4(OH) 硬度6.5〜7.5)があります。
これらの石は鉱物そのものが稀産な上に透明なものが少なく、さらに
カットが容易ではないために稀少で、全てのカット石が一部の宝石マ
ニア向けとなってしまいます。但しこれらの石は殆どが無色で有色の
ものも採れますが極めて稀少です。
ブラジルではピンク色のスポージュメンのクンツァイトが多く採れ
るのですが、クロムを着色成分とするグリーンのヒデナイトも採れま
す。ブラジル産のヒデナイトは色は淡いのですが、透明感が良く強い
テリが有りますので非常に美しい宝石です。ただ結晶が細長くインク
ルージョンが多い為なかなかカットに向く原石が無いことと、カット
の歩留まりが悪いためにカット石は稀少になってしまうのです。
最後になりますが何方でもご存じの非常に有名なレアストーン?パ
ライバトルマリンです。このトルマリンは1987年にパライバ州で
発見され、その眩しく感じるくらいのネオン効果で見る人を驚かせま
した。この独特の色調のブルーは銅イオンに起因しており鉄とチタン
によりグリーンになります。しかし残念ながらこの例えようもなく美
しい宝石も発見から数年で殆ど採れなくなりレアジェムとなりました。
将来この様に衝撃的な新宝石が発見されることが有るのでしょうか…。